腹立ち紛れに老骨を蹴ってみる

家族のフリして、母も祖父も完足できない個体であって、息子らに甘え掛かることの出来ない寂しさを抱えている 隠しきれずに漏らしている 息子は息子で、何事かもわからない何某かの退屈に蝕まれて、何もしないで寝転んでいるだけ けれど呑気でいるので、これ…

宵闇、公園で子供が遊んでいる

公園で子供が遊んでいる。 高学年の子どもたちが嫌な社会性を見せてこんな大規模な遊びをしている。とっぷり日の暮れた午後六時、こんな小さな公園に集って猿山みたいな声を出して、いじめしそうな女の子がいじめしそうな男の子と、一緒になって公園のブラン…

雷夜

雷 光る 夜 光る 瞳が、 夜 外套の 隙間から 光る 光って 宵闇の夜道を 瞳が、 雨 暗がりの 窓辺から 光る……イ……カ…… の/よう/な 目……玉、の、 ディス・プレーイ 重苦しい 蔀 は 野晒しの寝殿 腐り 撓り 禿げている 草いきれ 屋根弾く音 頑な ウミウシのよう…

『勉強の哲学』(千葉雅也)の冒頭を読んで浮上した疑問

自分というのは、個性的だがしかし同時に他者依存的に構築されたものである、というのはもっともらしい言い方である。しかし、他者依存的な構築を寄せ集めたところで、何らか根源的な自発性(木村敏)がなければ、つまり情報の集まりだけでは「個性的」にはな…

Erikson「女性は結婚するまでアイデンティティを確定させることができない」

例えば昭和世代の夫婦の恋愛期において、男から女に与えられる餌は、こんな私を熱心に口説くという自尊心であるが、しかし男が持つのは下心だ。ホモソーシャル的な力関係の勾配。マッチョイズムによる搾取的構造。その恋愛ゲームの結果満たされてしまった女…

雑記6、昨年秋の陰気な言葉

暇がある訳じゃないのに暇潰ししてる 暇潰しじゃなくて、暇うずめなんだけど 満たすもの探しなんだけど たまたま見つからないだけなんだけど ひたすら時間の流れから目をそらして無為な日々を無為に過ごしてきた しかしそろそろ現実に目を向けねばなるまい …

窃視

見られないことを補完しようとして見る。電車なんかでキョロキョロしてしまう人はだいたいそういうことなんじゃないかと思います。自分が見られてこなかったそのことがすごく悲しいのです。自分が必要とされてこなかったその歴史はとても虚しいものなので、…

雑記5

やる気はあるのに金銭的な余裕がないせいで道を諦めなくてはならなくなった人。余裕は人並みにあるけどやる気が出なくて道に進むことが出来ない人。どっちのほうがきついんだろう。どっちもきついよな。たぶん。一番不幸なのは、お互いにお互いを贅沢だって…

太陽が眩しかったので

白昼思わず声が出た。 「うわっ、死ね!」 爽やかな日差しの住宅街に軽い声。前を歩いているサラリーマンが振り返った。何年も前の嫌なことがフラッシュバックして、過去の自分を罵った。自転車に乗ったヤクルトレディが聞かないふりして僕を抜き去った。 高…

否認

描線うまくて嫉妬する 語学が勉強出来て嫉妬する 言葉がうまくて嫉妬する 人と話せて嫉妬する 体がきれいで嫉妬する 本を読んでて嫉妬する 歌がうまくて嫉妬する 仕事がわかって嫉妬する 車を運転できて嫉妬する ノートを取れて嫉妬する 友達が作れて嫉妬す…

区別、分離に関するポオズ

哲学するのに必要なのは、住まっているかいないかではなく、住まっていないという前提の上で、粘っているかいないか、粘っていなくてはならないということだ。 デカルト、区別というもの、裁断と非裁断の区別。 区別は分離に結節してしまうのではないか、区…

電波女と青春男

先行きもなく 一夏のユートピア 待ち受けるのは悲惨な人生で 宇宙人だけが実在する街角は きれいではかなく 切ないほどに 悲恋であるし、依存先が一つしかないし、受け入れても受け入れなくても変わらないし、いずれもヒサンだし、彼女だけでなく、男の方も…

存在しない罪を許すことはできるか?

基本的に僕がずっと考えてきたのは、自分を許すにはどうすればいいかということだけだ 僕は許せない自分を妥協的に許してきた。存在することを許せないのに、それを実行しない自分に対して、後ろ暗さを感じながらもなし崩し的に僕は僕に存在することを許し続…

「死にたい」

なんで死にたいなのでしょう 自己破壊の衝動 他の衝動ではなく 苦しみ? 他の苦痛なら苦痛の消去を望むはず なぜこれだけは自己の側の消去を望むのですか? 死が特別なものだとは昔からとても思えませんでした 確かに死は日常至るところに空いている穴 危険…

虫が怖い

虫が怖いというのは、やはり彼から危害を被ると感じているのである。それは確かに所謂実害の類いではないが、しかし彼に触れることでなにか穢れを蒙ると思う(例えば鱗粉や体液といった何か)。そしてそれは決して洗い落とすことが出来ないもの(例えば罪)…

根腐れ

何もしないで腐ってる やりたいことも見つからない いや、見つけようとも思えない このままじゃ良くないことは分かってる けれどすることといえば 頑張ってる奴ばらを羨むことばかり 自分の手をまじまじと見つめ 指を 爪を 甘皮を 手の甲の肌理を見つめ そこ…

ある土曜日の夕方のこと

帰ってきた。これから六時間なにで時間を潰そうか。練習サボって何してんだ、ほんとにそんな感じかも知れないけど、僕には今日ちょっと行けそうになかった。行ったら行けてしまうことになんとなく憤りを感じてもいたから、午前のうちに体調不良を伝えて欠席…

回復、倫理、許しのこと 備忘録

例えば不倫の証拠集めって、私怨とか復讐とかそういうんじゃなくて、尊厳を取り戻すための戦いで、こういうところでの勝ち負けっていうのが、虚しいように見る人も居るけど実は本当に大切なんだなって思った。ある種のけじめというか、騙されていたことはき…

無意味な定点観測

具体的事実に則さない気付き。普通は寧ろそういうことは少ないのかも知れないから、僕が少し変わっているのだろう。四六時中一人でいて、一人で一人と向かい合って、自分を見つめ続けていて、視線がプリズムとなって、〈私〉のかけらが砕け散って、それを一…

「考える」ってなんだろう 序論?

考えるってなんだろう。何をすれば考えたことになるのだろう。すぐにわかるか、永遠にわからず教えられるかのどちらかしかないのではないのか?アナログな「考える」という営みなど存在しないんではないのか? 「〇〇から☓☓が言えます」なんてこと、わからな…

雑記4

死にたいと思っていた人が生きて、これから生きようとした人が死んでゆく。世の中大概そんなものなのではなかろうかとは思っていた。 ま、確率的に当然ではある。死にたいという人は少数派で、また突発的に死んでしまう人の割合も小さいのだから、低い確率、…

詩人

意味のなさそうな言葉の羅列 それでも意味を貫き通す、ということが彼ら詩人の腹芸なのです 心象の灰色を語ったと思いきや 途端に色とりどりのグミを取り出してきたりしまして (ほんとうわけがわからないのよ) 気が触れたかのように連なるモチーフやシンボ…

雑記3

汗と小便の臭い 電車のなか 生ぬるい空気 元気を挑発する 広告 色彩 あたらしいモニター そこに群がる 人々 足のすくむ恐怖 は 確かにあった 世界には 例えば台風の夜の風 ジェットコースター 暴力的な波濤 三メートル先のほんものの銃口 出来ない仕事 「あ…

雑記2

でっかい......。アゲハチョウの芋虫。三齢幼虫辺りのそれが、道路を横切り這っていた。蠕動運動をする柔らかな筒状のタンパク質。この秋に産まれたところで番になれずに死んでしまうのではないかと思われるのに、冷え始めた重油由来の路面に重い体脂肪を引…

未推敲

意識と脳をメディア的関係で繋いだところで(そしてそれが当を得ていたとしても)、意識の問題は全く片付かない。なぜなら、脳だけがあってもそこに意識(や生命)は発現しないからだ。この"原初の一撃"の飛躍が何ら解決されていないのだから、単なる現状確…

意識、世界、現存在

現存在とは裏返しにされた袋なんだ。確かに世界内の存在だが、同時に世界は袋の[内側]に存在する。その意味で言うと現存在にとっての定義上の「外側」「外界」というのは、その膜の内側のものを指すのだ(それってなんだろう?)。

おせっかい、もしくはめんどくさい

ふと思った。批判するためだけに読む、というのは、若いうちにはひどく貧しい行為ではないかと。referするためだけに、信条に反する書物や作品を参照するというのは、誠実さのためにはたしかに必要だけど、そんなことをするのは自己や意見が確固と定まったお…

自分の感情で手一杯なのだが

自らの感情、即ち精神の基盤、肉体も情態性も含めた根本気分。 これが内側―真の外界だとすると、〈子ども〉の問い(永井均)は、外側と内側の境界面上に生じる問いだ(その他の哲学的問い(ないしその他すべての学問的・実生活的問い)は外側―形式的内界の問…

本質が附随してくる

快楽を充足させようとする行為と自傷行為との関係は、発酵と腐敗との関係に等しいと思う。人間の生活にいい影響を与えるか、それとも害する要素が含まれるか。ただ二次的作用のみに基づく人間本位の恣意的な価値基準で、それだけに実に小気味好い。

反復

今日一日色々あって それでもこうして今も生きて 明日の命も生きていく 生きていく予感を持っている たとえ再び希望が潰えても 消えてしまう他なく思い做しても 失望の灰の中から 生きる明日が顔を出す 何もしなくても顔を出す 何もしないからこそ 忘れるか…